「あなたよりも写真を信じるわ」
そう言われると私の存在意味が無いわけで
最近の傾向として、この携帯電話の多様性 多機能性により
例えば、初めての場所に行く時に
まあ今回の場合 初めてのレストランに行く場合
実際 席についてメニューを手に取り 店員と話す前に
もう以前に一度来たかのような 情報量でもって
メニューの名前から写真 さらには以前にそれを食べた人の感想まで
この店ではこれとこれが有名だから
みんながそう言っているから
それを注文して 写真を撮って
「期待」
どんなものが待ち受けてるのだろうか?
どんなことが起こるのだろうか?
どんな味なんだろうか?
どんな香りなんだろうか?
想像を現実のものにする楽しさ
新しい事を体験する喜び
「消化」
こういうことが起こるの知ってる 写真にのってた
こうゆうのをあの人がここで体験したらしい
自分も同じもを体験しよう 経験しよう
それをみんなに見て欲しい 話題にして欲しい
写真を撮って投稿して
満足して
人間味の 貧しくなったもんだ
今回 この方は 来店するなりwifiのパスワードを聞いてこられ
うちにはwifiが無い事を伝えると 少し不機嫌に外に出て
戻ってきては 当店のHPでも無い 他サイトの投稿写真を私に見せてきて
これっ と 指差したものがあいにく
季節ものであるため 今はご提供できない旨を伝えると
かなりの落胆と少々の怒りぶりで 以降 会話も無く 素っ気ない態度で
まるで全ての落ち度がこの僕にあるかのように
どのくらい遠路はるばるいらっしゃったのかは 知りませんが
事前に「電話」で問い合わせて確認することも出来ただろうに
他にも美味しいもの わたしはお勧めして差しあげますよ
それが私の仕事ですから
はたまた こちらもそれなら出来る範囲で
希望のものに近しい物を即席でおつくりしてもいいんです
もう少しでも私とまともに会話が出来たなら
終始 下を向いて携帯電話をみつめ
もちろん代わりに注文した物は全て食べ残して
ぶすっ
御馳走さまも言わずに
お店を出て行きました。
味でもなく 風味や香りでもなく
季節を味わうでもなく
もちろん それらから生まれる会話や空気でもなく
「証拠」
ただ単に 消化していくだけの
何も伝わってこない投稿写真の為に